Husserls Logik (16)

同じ対象を指す異なった表象について。確定記述で表されるような表象については、異なる表象が同じ対象を持つことは明らか。しかしフッサールは、固有名にあたるようなもので表される表象について、異なる表象が同じ対象を指示することを拒否する。つまり例を変えて言うと、`Cicero'と`Tully'は同じ表象を表す。こうしてCiceroとTullyの同一性として思われるようなものは、記号間の同一性を表現すると考えられる。『論考』のウィトゲンシュタインのような。

するとCicero=CiceroとCicero=Tullyの違いが出ないじゃないかという話になるはずだが、フッサールはこの違いをそれがどのような表象を表しているのかを判定する主観的要素にかかわると処理する。例えば認識価値はすぐれて主観的なものだろうから、これはこれでカバーできそうだ。でももっと深い問題がありそうだけど。