私は怒っているのである

iPodを始めとするハードディスク音楽プレイヤーに対して、私的録音保証制度を適用しようとする動きは前からあるのだが、文科省著作権分科会でいよいよ議論になってきた感じ(ITmediaの記事)。確かに、現行の著作権の枠組でデジタル録音等の問題に対処するには私的録音保証制度が適していると考えられるし、諸外国でもそのような処置が取られている。しかし再販制度JASRACの強力な管理下にある日本の著作権管理体制において、さらに私的録音保証制度による保護を加えるのは、過保護以外の何ものでもないように思われる。さらにいって、まったく汎用な記憶媒体であるハードディスクそのものにも私的録音補償金を課すのは端的に馬鹿げている。現在でもCD-RやDVD-Rはそうなっているが、そのうちハードディスクだけでなくSDカードやコンパクトフラッシュとかも対象になりそうな雰囲気。

そもそも、この問題は権利の問題ではない。あるいはまずもってはそうではない。忘れられようとしているのは、まず最初にこれはビジネスの問題である、ということである。著作権の改変に関する議論が、企業努力を免除するような形で進行するのはおかしい。私は何も、好き勝手に音楽を扱いたいと思っているわけではない。あまりにも著作権をビジネスの道具として酷使するのは、消費者の利便性を欠き、結局は企業、音楽業界の首を絞めることになる。そしてそれは現に起こりつつあるのである。音楽業界は、音楽文化の保護と発展のために著作権の強化が必要だと言う。私はまさに同じ理由から、著作権の強化は必要ないと思う。