ツェルメロ「数学的体系と無限の論理について」(5)

第四段落。

さらに出てくることは、このような仕方で「有基底的にされた体系」は、分離された「階層(Schichten)」*1の「整列された」列に(一意に)次のように分解されることである。つまりそれぞれの階層Qrの命題は、先行する階層の命題にのみ「依存している」、すなわち先行する階層の命題から量化によって生じ、同時にもっとも下の階層に属する。*2もっとも下の階層についてもこのことが成り立つ。ここで「整列された列」とは、あらゆる部分列、また列の全体も常に最初の要素を---最後の要素を必ずしも含むわけではないが---含むような列である。したがって例えば、自然数1, 2, 3, ...は整列された列であり、また列
1, 2, 3, ...1', 2', 3', ...1'', 2'', 3'',
もそうであるが、最初の要素をまったく持たないような次の形の列
...3, 2, 1, 1', 2', 3', ...1'',
はそうではない。また、与えられた命題sが属する階層、あるいはその階層を特徴づけるインデックスrをその「量化段階」と呼ぶ。したがって「基底」QはインデックスOをもち、すべての「基本関係」qを含んでいる。*3

*1:getrennte Schichtenとは各階層が互いに共通部分を持たないことを意味するのかどうか。

*2:もっとも下の階層があると言われている。ここでもっとも下の階層とはインデックスOを持つ階層(ここには「基本関係」だけが属する)のことではなくて、すべての命題を含む層のことだろう。

*3:数学的命題の世界は、整列順序をもつインデックスによって特徴づけられる有基底的階層秩序をなしている。ツェルメロが1930年に提起した「集合論」とはこのような構造一般を表現する一般理論であった。