論文読んでつぶやき

こういう歴史的でない論文は久しぶりに読んだ気がする。

  • Donald A. Martin, `Multiple Universes of Sets and Indeterminate Truth Values', Topoi, 20, 2001, 5--16.

集合論における決定不可能な文が示すことは、集合の宇宙は同型にならないものがいくつもあって、単一の宇宙を記述しているのではないとする見解への批判。二階のZFで表現されるような累積構造が確定していれば、すべての宇宙は同型であるし、少なくとも自然数が確定していれば連続体仮説は真か偽のどちらかと言える、と。

どうもこういう話は次の二つの点がいつも疑問に思う。
・Zermeloが累積構造として表したような集合論的宇宙が、informalなレベルで確定していること。
・その確定した構造が二階のZFで表現されること。
第一点は問題として立てる仕方がよく分からないのだが、第二点に関して言えば、我々の二階論理の理解はそんなに確定していると言えるんだろうか。二階論理のヘンキンモデルはどうするんだろう。それはgenuineな二階論理のモデルではないと排除できるだろうか。そのためには集合論なりカテゴリなり、ある程度強い数学的構造の直観的理解を前提としないといけないように思うんだけど。
でも確かに、自然数の場合はその理解が確定していると思いたくなる気持ちもある。ZFと同じように、PAだって非標準な数を排除するにはgenuineな二階論理が必要なわけだけど。何が違うのかなぁ。

もう一つ大きな問題は
・genuineな二階論理は完全ではない。
これは大問題ですよね。もちろん包括原理を適切に弱めれば完全だし、ほとんどそれで実用上はいいのだけど。

そういやそんな論文があったっけ。どれだ。これかな。読んでみるか。

  • Thomas Weston, `Kreisel, The Continuum Hypothesis and Second Order Set Theory', Journal of Philosophical Logic, 5, 1976, 281--298.