W.v.O.クワイン、『論理学の方法』、岩波書店、1961.

クワインによる論理学の入門書。伝統論理学や日常言語とのつながりが自然に意識されていたり、さすがによく書けていると思うところが多い。量化をベン図から始めて、一項述語、多重量化、二項述語と順々に拡大していくところなど。ただどこまでも真理関数的な説明。なので演繹のところはやはりポイントがよく分からない。こんなコメントが。

EIの存在により、本書の体系は、規則に課する制限の点で、ゲンツェンやヤスコーフスキーの体系とかなりことなっている。[...]また、ゲンツェンとヤスコーフスキーはTFのかわりに、より基本的な規則の組を使っていることもいっておいてよかろう。しかし、この相違はべつになんでもない。(p.166)

TFとは証明図のある行の下にその行からの論理的帰結となる文を書いてよいという規則。それが演繹に対するクワインとゲンツェンの最大の違いだと思うのだが。
もう一つ。「ならば」の真理関数的定義について。

実際上は、「pならばq」を言明する人は、普通「p」および「q」の個別的な真偽については不確かであるが、「pかつ非q」なる結合全体を信じないだけの理由を持っているのである。(p.21)

linear implicationとか合わせて考えると面白いかも。