佐々木力、『数学史入門 微分積分学の成立』、筑摩書房、2005.

あまり私には面白くなかった。微積分の成立をギリシャの双曲線の求積法からたどる。ニュートンライプニッツと、その後のコーシーらの話はそんなに大きくなく、そっちを期待していた私には期待はずれだった。個々の証明が詳しく書いてあるのはいいが、いまいちポイントが分からなかった。もともと一般向け講演が基になっているせいか、語り口がだいぶ気になってしまったこともあった。アクが強いな。

ともかく、得られた結果の有用性と一定程度の確実性を信じながら邁進する数学者と、その基礎の不十分性を批判しようと手ぐすねひいて待ちかまえている哲学者の姿とは、現代に重なって見えもするのではなかろうか。(p.187)

数学の哲学に対するこういう捉え方は、いまだ根強い。個人的にはこの捉え方はいまの状況には合っていないと思うが、代替のイメージが明確に提示できるわけでもない。