フッサール初期数学論についてのメモ書き (3)

ところがHartimoは、その第二部について次のように記す。

While the first part of the Philosophy of Arithmetic introduces many features crucial to Husserlian phenomenology, the second part on the logical analyses of number proved to be more problematic. While its role for the development of phenomenology is a minor one, it is of interest in its own right. (p. 332)

このような意見、第二部の意義を軽く見て、フッサールの数学論の転回を見失う意見は別にHartimoに限ったことではない。MillerやLohmarでも同じようである。彼らによれば、第二部およびその周辺の草稿は単なる気の迷いに過ぎず、『論理学研究』で『算術の哲学』と基本的に同じ路線の見解に復帰するのである。それが今の「正統な読解」である。

これは一理ある。『論理学研究』の一部の箇所、『危機』や「幾何学の起源」を見る限り、『算術の哲学』における発想が受け継がれているように見える*1、むしろそう読むとつながりが見えやすいからである。だが、それはこの転回を無視することになるし、取り出された見解はつまらないものに終止すると思われる。この転回は、もっと大きく見積もられなければならない。それはうち捨てられたのではなく、FtLなどへと受け継がれているものでもある。

とりあえず終わり。

*1:Eleyがすでに指摘したとおり。