飯田隆編、『哲学の歴史11 論理・数学・言語』、中央公論新社、2007.

総じてよかった。この分野の日本の研究のレベルが高いことがうかがわれるということだろう。欲を言えば、言語哲学が衰退した後の分析哲学の状況、心の哲学や認識論がもうすこし拡充してあればよかったし、物理学の哲学・生物学の哲学といったところのトピックが扱われていないのも気になった。フレーゲラッセルが白眉。ウィトゲンシュタインは伝記や遺稿の状況に分量が割きすぎているという印象。前期では『論考』の自己批判が扱われていないし、後期では言語ゲームの概念が取り立てて扱われていないのはどうかと思った。