W.G.ライカン、『言語哲学 入門から中級まで』、勁草書房、2005.

とてもいい本だった。言語哲学の基本的な問題について、古典的見解とそれに対するいくつもの異議がきちんと解説されている。入門書としてかなり適してるだろう(とはいえ、本当の入門者は解説してくれる人がいないときついだろうけど)。最後の隠喩論は言語哲学の暗黒面とされているだけあって、難しかった。これなら規約の問題とか、意味の理論と暗黙知とか、全体論と分子論的意味論とか他に扱われるべき重要な問題があるような気もする。
訳は言語哲学の翻訳書としてとても読みやすくいい訳だという感想。さすが、あれだけやっていただけはある。気づいたのは一点。p.256の例文(16e)の「唯一の強大な神(a just and mighty God)」は「公正かつ強大な神」だと思います。